精密エアシリンダ「BFシリンダ」で次世代半導体の生産性が向上
技術コラム
自動車の自動運転やIoT、5Gの広がりでますます高まる半導体需要。活況を呈する半導体市場ですが、半導体の増産が叫ばれるなか急務となっているのが、半導体製造の生産性向上です。
半導体製造の生産性向上にはさまざまなアプローチがありますが、そのひとつに、製造装置の制御を担う「エアシリンダ」の見直しがあります。
このコラムでは、半導体製造装置におけるエアシリンダの課題とその解決ポイント、半導体製造の生産性向上に役立つソリューションについてご紹介します。
エアシリンダとは?
エアシリンダは、圧縮エアを利用して直線的な往復運動を生み出す空圧機器です。FA(ファクトリーオートメーション)の自動化設備をはじめ、産業用ロボットや搬送装置など、生産ラインに欠かせない重要な制御機能を果たしています。
エアシリンダは筒状のシリンダとピストンロッドで構成されており、エアの印加によってピストンロッドが作動します。一般的に駆動部のスキマには、圧縮エアが漏れないようにゴムパッキンが使われています。
半導体製造装置におけるエアシリンダの課題
- 〈一般的なエアシリンダ〉
従来、一般的なエアシリンダは、設備のエア圧力のわずかな変動の影響を受けやすく、動きが不安定になることがありました。エアシリンダの動きが安定しないと、装置の精度に影響が出てしまうだけでなく、チョコ停やラインストップが発生し、生産性低下につながります。
またエアシリンダは低速で動かすとビビり(スティックスリップ現象)が発生しやすく、精密な制御には向いていませんでした。
課題のポイント
- × エア圧力のわずかな変動で、エアシリンダの動きが不安定に...
- × チョコ停やラインストップの発生で生産性が低下
- × 半導体製造装置の精密制御には不向き
エアシリンダの不安定な動きを、BFシリンダで解決
- 〈BFシリンダ〉
エアシリンダの不安定な動きの原因は、ゴムパッキンによる「摺動抵抗」と「エア漏れ」にあります。
一般的なゴムパッキンを使ったエアシリンダは、ゴムの摺動抵抗が大きく、エア圧力のわずかな変動に応答することができません。また、ゴムの摩耗によってエア漏れが発生すると、内部圧力が上がらず、ピストンロッドを安定して動かすことができませんでした。
そこで採用されているのが、藤倉コンポジットの精密エアシリンダ「BFシリンダ」です。
BFシリンダは、ゴムパッキンに替わる薄膜の「ダイヤフラム」を採用しているため摺動抵抗が小さく、エア圧力のわずかな変動にも機敏に応答することができます。高い気密性でエア漏れの心配もありません。低速域でもスムーズに動くので、半導体製造装置の精密な制御に最適です。
解決のポイント
- ○ 摺動抵抗の小さいダイヤフラムの採用で、エアシリンダの動きが安定
- ○ チョコ停やラインストップがなくなり生産性が向上
- ○ 半導体製造装置の精密制御に最適
一般的なエアシリンダとの比較
比較項目 | ||
---|---|---|
内部構造 | ダイヤフラム | ゴムパッキン |
摺動抵抗 | 小さい | 大きい |
潤滑油 | 不要 | 必要 |
固着リスク | なし | あり |
エア漏れ | 漏れにくい | 漏れやすい |
半導体製造装置のさらなる生産性向上ポイント
半導体製造装置のさらなる生産性向上を実現するためには、限られたスペースで生産効率を上げる「省スペース化」と、半導体の微細化にともなう「高精度化」がポイントになります。
藤倉コンポジットでは、ニーズにあわせたエアシリンダの開発でこれらの課題に応えています。
半導体製造装置の省スペース化には「超薄型シリンダ」
取り付け高さを抑えたエアシリンダ。BFシリンダとおなじくダイヤフラムを採用しているため、狭いスペースでも精密な制御が可能です。
半導体製造装置の小型化が実現し、装置設計の幅が広がります。
半導体製造装置の高精度化には「エアベアリングシリンダ」
ダイヤフラムを使わない超精密向けのエアシリンダ。エア膜によって非接触で摺動するため、摺動抵抗ゼロの超精密制御が可能です。
微細化する半導体製造工程の超精密制御に最適です。
半導体製造工程における精密エアシリンダの用途例
精密エアシリンダの、半導体製造工程での用途例をご紹介します。
CMP(平坦化)/研磨工程
ドレッサーヘッドやポリッシャーヘッドの押し圧制御で、精密なウェハー研磨が実現します。
CMP装置、ウェハー研磨装置 | |
BFシリンダ、エアベアリングシリンダ、超精密レギュレータ |
精密エアシリンダは、精密レギュレータ(減圧弁)と組み合わせることで精密な圧力制御が可能です。
半導体製造装置には、圧力特性と流量特性に優れた、クリーンルーム対応の超精密レギュレータ(RS/RR)がおすすめです。
半導体製造装置の精密制御はお任せください
このコラムでは、半導体製造装置におけるエアシリンダの課題とその解決ポイント、半導体製造の生産性向上に役立つソリューションについてご紹介しました。
半導体の微細化・高集積化が進むなか、半導体製造装置にもこれまでにない精密制御が求められています。
藤倉コンポジットでは、ゴムメーカーとしての技術力を活かし、お客様の用途に合わせたエアシリンダの完全オーダーメイドが可能です。クリーンルーム対応から、耐熱・真空環境下まで、エンジニアがゴムの配合から検討までを行い、最適な仕様をご提案。1台から量産まで、お客様のあらゆるニーズに対応しています。
半導体製造装置の精密制御でお困りでしたら、ぜひ一度、藤倉コンポジットまでご相談ください。
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